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終活を思い立ったらヒューマンケアへ
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当り前のように過ごしている日常において人生の終わりをイメージする機会は少ない。
せいぜい、身近な人の死に接したときや、重い病気にかかってしまったときくらいか。
しかし、“終わり”は必ずくる。
ならば、できるだけ自分の意思に沿った終活を行い、遺志を酌んだ後始末をしてもらえるよう備えておきたいもの。
ヒューマンケアは、そういった相談やアドバイスにも積極的に対応している。
終活に関する知識だけでなく実務や実状にも精通し、相応の実績があることが当社の強みである。
終活とは?
「終活」という言葉が一般化して久しい。
これは2009年に週刊誌が用いた造語で、自分の人生と向き合い、人生の終わりを意識し、人生を総括して行う活動のことで、具体的には、家財や身の回りの整理、相続を円滑に進めるための計画立案や財産整理、自分の葬儀や墓を準備したりすることである。
死後の諸手続きに必要となる情報や残される人へのメッセージ等を書き残すエンディングノート(終活ノート)や遺言書の作成も代表的な終活のひとつになっている。
多くの人々に認知され広がりを見せるようになったのは2010年頃からと言われており、社会の高齢化・少子化・核家族化による不安感の増大が背景にあると言われている。
終活の背景は?
半世紀前くらいの日本は、家族や親類縁者、地域の人との繋がりが強く、自分が亡くなった後の始末も周囲に任せておくことができたため、終活などという概念を持つ必要がない世の中だった。
また、時世の家族構成や人工構造の特徴として、身の回りに縁のある人が多かったため、残された人 一人一人の負担も少なく済んでいた。
しかし、現代においては、亡くなる人は増加傾向にある反面、残される人の数は激減している。
同時に、進歩した医療によって人々の寿命が延び、自分の病気や介護、保険や相続、葬儀や墓に責任を持たなければならない高齢者が増え、それだけ老後や死後のための備えを考えざるを得ない人が増え、それに呼応して終活の必要性が高まっているものと考えられる。
他にも、世の中の移り変わりにともなって、人々との意識が家族主義から個人主義へ変わりつつあることも影響していると考えられる。
終活の理由は?
終活を行う理由としては、「家族に迷惑をかけたくない」「家族が困らないようにしたい」といったものが多い。
その根底には、多くの人が本能的に持っている家族愛(人間愛)と「立つ鳥跡を濁さず」といった価値観を尊ぶ日本国民の伝統的な美意識があるのかもしれない。
ただ、今日では、残された家族に迷惑をかけないためだけではなく、人生の終わりを考えることを通じて自分を見つめ直し、残りの人生をより良く、自分らしく生きるためのものとしてポジティブに捉える向きが増えている。
終活のタイミングは?
終活を始めるタイミングに明確な好機・危機はないが、現実には、還暦を迎える60歳頃から終活を意識し始め、定年退職し年金受給を始める等して生活スタイルが一変する65歳頃から、つまり、社会的に「高齢者」と呼ばれるようになってから終活を始める人が多いよう。
自分の老後に対する不安が増していく年代ということである。
ただ、自分が思い立ったタイミングで始めればよいわけで、中高年になるまで待つ必要はなく、若年者が断捨離的な感覚で始めてもメリットは大きいと考える。
葬儀や墓の時流は?
“人生を終う”には、何かとお金がかかる。
「銀行の預金口座が凍結されて諸々の費用を支払うのが大変だった」といったケースも多いので、当座の出費に備え、いくらかの現金を用意しておくことが必要な場合もある。
葬儀について、一昔前は多額の費用がかかるのが当り前だったが、近年は、「直葬」「家族葬」といわれるシンプルな葬送のニーズが高まっている。
また、墓についても、先祖代々の家族墓を重んじる人が減り、散骨等の「自然葬」や「納骨堂」「合同墓」を利用する人が増えてきている。
終活のメリットは?
終活の大きなメリットは、最期まで自分らしく幸せな人生を送ることに貢献するということ。
家族や財産のこと等、気がかりなことや不安に思うこと等を一つずつ整理し備えることによって、以降を安心して過ごすことができるようになる。
気持ちが軽くなって明るくなったり、気持ちに余裕が出てきて前向きになったり、新たに生きる意欲が湧いてくるかもしれない。
メリットの二つ目は、家族の負担が軽くなること。
病気や老いなどで医療や介護が必要になったときに家族のサポートは欠かせない。
また、葬儀や相続など、亡くなった後の諸手続きや後始末も、一般的には家族がやることになることがほとんど。
自分で活動ができるうちに必要なことを進めておけば、家族の負担を軽減することができるだけでなく、起こり得る家族間トラブルのリスクを抑えることもできる。
終活は、本人にとってはもちろん、家族にとっても重要なことで大きなメリットがあることなのである。
終活のすすめ
「終活」と聞くと淋しい印象を抱く人も多いかもしれないが、人生の終わりは必ずやってくる。
繰り返される四季の移ろい、重ねられていく自分の齢、老い衰えている身体をみれば、人生(時間)の有限性はハッキリと感じられるはず。
残された人生に漠然とした不安や心配事を抱えたままでよいだろうか。
あまり考えたくないことかもしれないが、終活はより良い余生を過ごすために大切なこと。
もちろん、自分の力だけではどうすることもできないことが少なくないのも現実。
また、家族を気遣うあまり終活がストレスになっては意味がない。
その点を認識しながら、自分の力が及ぶ範囲で、ストレスにならない事柄を片付けるだけでも気持ちの軽さは変わってくる。
独居高齢者の増加から、最近では、終活についての相談窓口を設けようとする自治体も出てきている。
未来への不安や心配事を解消し、残された時間をポジティブに生きるための活動と捉えて終活に取り組むことをおすすめしたい。
ヒューマンケアの終活応談事例
訪れた現場は、郊外住宅地に建つ一軒家。
依頼者は70代後半の女性。
女性には息子と娘がいたが、それぞれ家庭を持ち遠方で生活。
同居していた夫は数年前に他界し、以降は一人暮らしとなっていた。
女性は特段の病気を抱えているわけではなかった。
ただ、ここ数年、身体の衰えをヒシヒシと感じるように。
また、体力だけでなく認知機能にも不安を覚えるように。
否応なく、残された時間が長くないことを認めざるを得なくなってきた。
そこで思い立ったのが終活。
「自分の人生の始末はできりかぎり自分の手でやろう」
死後の後始末は遺族に担ってもらうしかないのだが、できるだけ自分の遺志を反映させ、同時に遺族の負担を軽減するための準備をしたいと考えていた。
生前整理、生前贈与、葬儀、遺骨、墓、遺品整理、遺産相続等々、終活においては思案し備えなければならないことはたくさんある。
そして、他人(業者)の手を借りなければ遂行できないことがたくさんある。
そんな中で、当方が担うのは遺品整理と必要に応じた特殊清掃。
大方の事情や要望を電話で確認したうえで現地訪問。
建物の構造、周辺の作業環境、家財の量や種類等を確認し、より細かな要望を聴聞した。
女性は孤独死した場合も懸念。
ただ、しばらく放置されるとどういうことになるかまでは具体的に想像できておらず。
質疑応答を繰り返す中で眉をひそめたくなるような光景も浮かび上がってきたが、女性は真剣に耳を傾けてくれた。
その上で「そうならないに越したことはない」ということを大前提とし、汚損レベルに応じた作業概要と概算費用を提示した。
当社の終活応談、電話だけで済む程度なら費用はかからないが、現地調査・現地聴聞が必要なほど込み入った内容であったり書類作成・各種手配などの実務・実働が伴ったりする場合はアドバイス料・コンサルティング料が発生することがある。
もちろん、事前に説明し了承を得たうえでのことであるが。
一連の応談業務は有料で実施し、時勢物価や消費税率変更に応じて費用が変動する可能性があることや特殊清掃に関することを付記した遺品整理の見積書を提出して終了。
女性は、それを息子と娘に伝え置くことによって、終活を一歩前に進めたのだった。