故人の死因を偽ることは、果たして故人の選択した死の意志を尊重しているのだろうか？ 当日は、喪主である長女と長い時間話すことができ、控えめで実直な印象を受けたため、自殺を自然死にみせることに戸惑いはなかった。しかも警察や救急も事故ではないと判断して帰ったとのことだったので、長女の家族や親族に対する精一杯の気遣いだろうと、ただ思ってしまった。 だが、数日後、故人の選択した死は故人が伝えたかった最後のメッセージなのではないだろうかと私は思いはじめた。 ただ、事故死ではない以上、ほとんどは家族の問題であることも確かであり、私の想像など余計なお世話というものだろう。 死は、どのような死でも、残されたものに少なからず影響はあるだろう。死因によっては家族親族に大きな傷を残すことも考えられる。 死は、残された者が、これからも生きていくためにあるとも思える。