- Q
事故物件のリフォームはお願いできる?
- A
事故物件の特別汚損に対して、当社は、要望に応じてリフォーム(原状回復工事)を施工することも多い。
ただ、闇雲に「きれいにしたい!」と突っ走るのではなく、熟考してその要否を判断することが重要。
先々、その物件に自分や関係者が居住する予定なのか、第三者に賃貸する予定なのか、それとも、売却する予定なのか、それによって進むべき方向は変わってくる。
自分や関係者が居住する予定、第三者に賃貸する予定であるならリフォームは必須。
汚れて傷んだままでは生活しようがないから。
ただ、売却などして手放す予定である場合は、「リフォームは必須」とは言い難い。
所有者(売主)としては、「売却価格を上げたい」「買主の印象をよくしたい」といった気持ちを強く抱くのは自然なことで、「そのためには部屋をきれいにした方がよい」と考えるのだが、部屋をせっかくきれいにしても、購入検討者の嗜好に合わなかったりすることもあり、掛けた費用ほど物件価値は上がらないことが多い。
また、契約不適合責任を問われないためにも、所有者(売主)には告知義務が残るので、マイナスの印象を拭い切ることはできない。
リフォームを実施した場合、実施しなかった場合、双方のメリットとデメリットを勘案して検討することが求められるし、当社も適切なアドバイスをするよう努めている。
事故物件は価値が下がる?
事故物件を抱えてしまった心労と煩わしさと嫌悪感から、売却を検討する所有者は多い。
事故物件を不動産会社に仲介してもらって買主を探すのは時間がかかりやすいため、主流派は不動産会社に買い取ってもらうかたちになっていると思われる。
昨今では、事故物件を専門にした買取業者も多く見受けられるようになり、買い取りに応じてもらえる可能性は高いものの、その査定額は極めて厳しいものになるのが現実。
残念ながら、事故物件は買い叩かれやすく、話にならないくらいの安値になることが多い。
状況にもよるが、市価の半値、またはそれ以下になることもあり、マイナス査定は覚悟していながらも所有者としては受け入れ難い額となる。
しかし、売る側にとっての「破格」は、買う側にとっては「適正価格」。
自由市場原理においてはそれが現実の価値なのだから受け入れざるを得ないことなのかも。
まずは、多角的な視野を持ち、広く情報を収集し、慎重な構えで事にあたることが大切である。
リフォーム業者はどこでもいい?
買い取りの査定額(売却価格)が心づもりと大きく乖離して低い場合、「リフォームしてコツコツと賃貸を続けよう」と、売却を断念してリフォーム・再賃貸に舵を切る所有者もいる。
そうは言っても、リフォーム工事業者の中には「事故物件は扱わない」といったところも少なくなく、どの業者でも引き受けてくれるというわけではない。
また、当然のことながら、一般物件に比べて事故物件の数は圧倒的に少なく、一般の工事業者には実績・技術・ノウハウのない業者も多い。
重症の事故物件の内装建材は、通常家屋では想定できないようなダメージを受けていることも多く、二次的な特殊清掃・消臭消毒と組み合わせないと進められないような工事もあり、どの業者でもいいというわけにはいかないのである。
業者によって工事や費用は異なる?
リフォーム業者によって費用に差があるのは自然なこと。
ただし、「事故物件だから工事代が割高になるのは仕方がない」といった諦め(先入観)は捨てた方がよく、一般的な価格と大きく乖離している場合は要注意。
確かに、事故物件の場合、美装目的の一般的なリフォームより割高になることは多いが、それは一般的リフォームに比べて、工事対象が広かったり、工事部分が深かったり、特殊処理や消臭消毒等の付加作業が必要だったりするため。
市価と比べ工事費(人件費)や資材費が著しく高かったり、不明な工事や資材が隠されていたりするからではない。
一方、安すぎるのも要注意。
安いには安いなりの理由があり、粗悪な材料を使って資材費を抑えていたり、雑な仕事や工期工程を恣意的に動かすことによって人件費を浮かせたりして、「安かろう悪かろう」といった事態になりかねないので、慎重に検討する必要がある。
業者選定のポイント①
事故物件であることを隠して依頼すると後々トラブルになる可能性があるため告知は必要であり、慣れない業者だと工事の目的が達せられないこともある。
したがって、依頼するリフォームが事故物件であること伝えたうえで、工事を引き受けてくれるかどうか、併せて、実績や技術があるかどうかを確認する必要がある。
また、共用部の利用の仕方や工事日時・騒音・振動などについて、近隣へ充分な気配りができるかどうかも大切。
事故物件は、一般工事では必要のないデリケートな対応が求められることも多いので、そういった配慮が自律的にできる業者の方が好ましい。
業者選定のポイント②
次に、現地調査と見積作成に費用が掛かるかどうか確認し、それに快く応じてくれるかどうか観察。
商習慣としては、現地調査や見積作成は無料で行うのが一般的。
ただ、ホームページで「見積無料」「調査無料」を唄っていても、地域や曜日・時間帯に条件がついていることもある。
また、工事が大規模になる場合は見積作成に費用がかかることもあるので、充分に確認しておく必要がある。
それに快く応じてくれるかどうかは感覚的な判断になるが、相応の仕事を任せるわけだから大切な判断基準になる。
ちなみに、現地調査をしないで見積を作成する業者は論外である。
業者選定のポイント③
提出された見積書の内訳が明瞭であるかどうか、質問に明確に応えてくれるかどうかも重要。
「工事一式〇〇万円」等と、詳しい内訳や単価がわからないような業者は避けた方がよい。
あと、追加料金の有無を確認しておくことも必要。
不可抗力な事情を除き、依頼者の要望によらない追加工事や資材変更など、業者都合による追加費用は発生させないのが商業道徳を守っている業者。
また、無闇に事故物件であることを外部に漏らさないことも必須。
個人情報保護・守秘義務の遵守など、基本的なモラルを守れる業者であることも大切なポイントである。
専門業者のすすめ
特殊清掃業者の中には、遺品整理・消臭消毒・内装設備改修を一体的に施工できる業者もある。
当社もその一社なのだが、一連の作業を一体的に進めることのメリットは大きい。
コストパフォーマンス、作業効率、合理性、安全性、そのメリットは依頼者も享受できる。
とにかく、事故物件でも大切な財産であることに変わりはない。
単に、金額だけで判断するのではなく、業者の印象が好いものであるかどうかや工事内容が指向(嗜好)に合っているかどうかを吟味し、信頼性や納得性が高いところでリフォームを行うことが重要である。