よくある質問

ゴミを溜めてしまう事情は?

近年、賃貸住宅でのゴミ部屋が増加傾向にあると言われている。

マンションやアパートは、プライバシーが守られるような構造をしており、他人の目がない一人きりでの占有が維持できることが要因の一つと考えられており、また、家族や友人との関係性が影響しているとも考えられている。

また、中食の増加に併せて生活のリズムがゴミ出しの日時に合わなかったりすることも一因か。

ゴミが溜まりはじめても次第に本人は慣れてきてしまい、当初は覚えていた違和感もなくなり、ゴミは溜まっていく一方になってしまうのである。

ゴミを溜めてしまう理由の根源は?

ゴミを溜めてしまうことの原因は、表面上は生活スタイルや生活習慣にあるように見える。

病気や障害など、身体的な事情がある場合もあるだろう。

しかし、その根底には、精神的な事情があることが多い。

「片付けたくても片付けられない」「ダメとわかっていても溜めてしまう」

そういった苦悩を抱えながら生活していると、更に負荷がかかり、ただの危機感を通り越し、罪悪感・劣等感・羞恥心といった心痛に支配されるようになる。

そして、思考は、それを紛らわすための現実逃避に向かっていき、ゴミ部屋はどんどん重症化していくのである。

ありがちな状態は?

ゴミの中身については、細かく見れば現場によってまちまちだが、大きく見ると日用品全般に渡る。

雑誌・衣類・日用消耗品をはじめ、空缶・ペットボトル・弁当容器など食品系ゴミも多い。

食べ物そのものがゴミに混ざっていることも珍しくない。

家具や家電がゴミに埋まっているケースも多々あり、台所をはじめ風呂やトイレまで埋まっていることもよくある。

無数のペットボトル・空缶・空瓶・紙パック等に尿が溜められていることもあれば、糞便が入ったレジ袋がいくつも混ざっていることもある。

すべての現場で遭遇するわけではないが、ネズミ・ゴキブリ・ハエの類が発生していることも多い。

ゴミ部屋にしてしまったら?

賃借している部屋をゴミ部屋にしてしまったら、とにもかくにも、ゴミを撤去することを再優先にしなければならない。

ゴミ撤去と清掃で、部屋をおおむね原状回復させることができれば、以後はゴミを溜めないことに注力して生活すればいいだけとなる。

しかし、それだけでは済まないことが往々にしてある。

それは、腐食や損壊によって、内装設備・建材建具そのものが傷んでしまっているケース。

このようなケースでは、内装設備改修工事は借主が勝手にすることはできないため、何かしらのタイミングで貸主・管理会社に実情を伝える必要がある。

退去を予定しているなら尚更で、契約解除時期(家賃)にも影響するうえ、場合によっては貸主・管理会社から過大な要求を受けるおそれもあるため遅滞なく行いたい。

ゴミ部屋の責任は?

ゴミ部屋は、「善管注意義務違反」「用法遵守義務違反」にあたる。

したがって、ゴミの撤去処理費用は本人が負担しなければならない。

ゴミの量が多ければ多いほど、不衛生であればあるほど、費用は高くなる。

ゴミが原因で生じた汚れの清掃や修繕も同様。

一般的な生活では生じ得ない重篤な汚れを清掃するわけだから、清掃代は割高になりやすい。

原状回復の責任は?

現実としては、ゴミに隠れていた部屋(内装)が傷んでいることが想像できず、ゴミを撤去した跡を見て愕然とする人が多い。

部屋の原状回復について、本人の不注意や過失によって生じた損耗・毀損の修繕は、当然 本人が負担することになる。

ただ、内装の部位や設備によって耐用年数を考慮した金額にするべきとされているので、理屈上は、入居期間が長ければ、それだけ負担は軽減できる。

とは言え、借主に非があるのは明らかであるため、負担は広範囲にわたるのが一般的。

そして、清掃代と同様、一般的な生活では生じ得ない損傷を修繕するわけだから、施工代も割高になりやすい。

損害賠償の責任は?

加害・被害の程度や、解決に向けたその後の協議によっては損害賠償の問題が生じることもある。

損害が自室だけにとどまらず、害虫・害獣・悪臭など、他の部屋に害を与えている場合は、損害賠償を請求されることがある。

具体的な賠償内容については事案ごとの判断となるが、貸主に抱かれてしまった悪い印象が協議の進捗や金銭負担に影響することも少なくないため、他室・他住人への配慮は優先的に行いたいものである。

ヒューマンケアの重症ゴミ部屋事例

画像の現場は重篤なゴミ部屋。

本人は何年にも渡ってゴミを溜め続け、極めて深刻な状態に陥っていた。

アパート他住人の誰もが随分前から気にはなっていたそうだったが、住人同士のトラブルになることや他人の生活に口を挟むのが躊躇われたため黙っていたそう。

しかし、悪化する事態の中、結局、その住人達による管理会社への通報が発覚のキッカケとなった。

苦情の内容は「昼夜問わずカーテンは閉めっぱなしで雰囲気が不穏」「窓にハエの影がたくさん見える」「ベランダもゴミだらけ」等といったもので、とりわけ、隣室や下室の住人からは、「当室が原因とは断定できないが・・・」としながらも、「ハエやゴキブリが頻繁にでてくる」「原因不明の悪臭がする」等といった苦情が頻繁に寄せられるようになった。

        

 

住人の要望を受けた管理会社が、ベランダと窓外観を確認すると、確かにその部屋だけ異様。

玄関前に行ってみると、その傍らにもガラクタが散乱。

透明感を失くした窓からは荒廃した雰囲気が漂い、生活感は感じられず。

早速、管理会社は本人に連絡をとって、室内の確認を要請。

本人は、それを拒むことはできず、拒んだとしても時間の問題。

間を置かず、重症のゴミ部屋が露わになったのだった。

         

 

ゴミの多さと不衛生さもさることながら、内装・建具・設備の汚損も顕著。

当然のことながら、ゴミの撤去費用は本人(借主)負担。

本来ならそのまま使用できたはずの下地ボード交換やゴミが原因の消毒消臭・害虫駆除も本人負担。

高額の費用がかかる水廻設備の交換も、ほぼ本人負担

耐用年数と経年劣化が考慮され、天井壁クロス・フローリングの貼り替えは貸主負担。

結局のところ、原状回復には、部屋を丸ごと造りかえるくらいの工事が必要となった。

 

本人は、費用をする意思を示し、一連の実務は管理会社の主導によって進められることに。

ただ、負担割合について話がついても、実際に支払わなければ意味がない。

実際にかかる費用は高額で、貸主や管理会社にとっては、本人の資力が懸念材料となった。

併せて、本件が原因で他住人が出て行くことも心配された。

そうなった場合は損害賠償の問題も生じかねず、貸主・本人双方のためにも、そうならないに越したことはなかった。

とにかく、やるべき作業は粛々と進めるしかなく、また、ここまで重篤なゴミ部屋をつくってしまった本人は、負うべき責任をシッカリと負うしかなかった。

        

重症化する前に

生活で出るゴミは、その都度キチンと片付けるに越したことはない。

ただ、人の性質や癖は、そう簡単に変えられるものではない。

ゴミを溜めてしまう習慣も然り。

ゴミ部屋を主は、片付けてもそれを繰り返してしまう傾向がある。

現に、定期契約をしているわけではないが、年に一回、繰り返し依頼を受けて対応している現場もある。

それには色々な事情があるわけで、とりわけ、メンタルが影響しているようなケースでは、当社のような専門業者に気軽に頼ることも大切

ポイントは、早めに対処すること。

もちろん、そのための費用はかかるが、ゴミ部屋が軽症であるうちは費用も抑えられるし、内装汚損のリスクも低い。

自分を否定するのは程々に、罪悪感・羞恥心を捨て、「ゴミが溜まってきたらヒューマンケアを呼べばいい」と発想を転換することも、心穏やかに暮らすための一助になるはずである。

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