よくある質問

腐乱死体現場の実状は?

公に流通する情報に乗らない事案の方が圧倒的に多いのだが、誰しも、「“異臭がする”という通報によって遺体が発見された」という事件や事故のニュースを見聞きしたことがあるだろう。

ただ、一般的に、その実状は知られていない。

最近では、好奇心の赴くまま検索すれば、YouTube等で簡単に腐乱死体現場の画像を見ることができる。

しかし、小さな画面からは、ウジが這い出てくることもなければハエが飛び出してくることもない。

激烈な悪臭が噴出してくるわけでもなく、遺体残留物が放つ凄惨性は乏しく、受けるインパクトは実際の現場に比べると極めて限定的なものである。

一般的な遺体はどう扱う?

近年、我が国では8割以上の人が自宅以外の病院・施設等で亡くなっている。

また、葬儀は葬儀式場で行うことが一般的になっているため、多くの故人は病院からそのまま葬儀場の霊安室に運ばれていく。

そして、腐敗を遅らせるため、霊安室の遺体用冷蔵庫に保管されたり、腹部を中心にドライアイスをあてられたりする(併用もある)。

そうすることによって一週間くらい、場合によっては もっと長い間 遺体を常態で保つことができ、その間に葬儀・火葬が執り行われることとなる。

やはり、自宅に安置するより専用の設備で保管した方が、遺体は悪くなりにくい。

敗血症や重損傷など特別の事情がないかぎり、一般的な遺体は、そのような対処法で大きな遺体変容(腐敗)を防ぐことができるのである。

遺体は自然に還らない?

死んでその身が朽ちていくのは人間も野生動物も同じこと。

ただ、野生動物の多くは野外で死に、その場で朽ちていく。

バクテリア・微生物・虫の類、そういったモノが肉体を分解し、やがて土に還るように消えていく。

骨・歯・爪・毛などは肉より長く残るものの、それでも徐々に風化し自然と同化する。

一方、人間の場合、亡くなる場所が自然野外であることは稀で、ほとんどが何かしらの建造物内。

バクテリア・微生物・虫の類が肉体を分解するまでの過程は野生動物と同じだが、そこには還っていく先の土壌もなければ同化する自然もない。

大自然に包まれて消化・風化していくことはなく、内装建材を汚損腐食させながら残留するのである。

腐敗度や環境によって汚れ方は変わる?

気温や湿度もさることながら、腐敗進度には経過時間が大きく影響する。

当然、発見が早ければ早いほど汚染は軽く済む。

また、それは遺体があった場所によっても変わる。

畳や木製フローリング等、水分を吸収しやすい素材は傷みやすい。

意外かもしれないが、コンクリートやモルタルの類も然りで、これらは脂分に弱い。

逆に、クッションフロア(CF)や樹脂素材など、水分を吸収しにくい素材の汚れに対する耐性は強い。

中には、布団やベッドが遺体液を吸収し、床の汚損を抑えているようなケースもある。

また、浴室では、浴槽に浸かっていたかどうか、保温機能が動いていたかどうかによって、その汚損度は大きく変わる。

やはり、保温された湯に長く浸かっていた場合は、かなり凄惨なことになってしまう。

時季や環境の影響はある?

腐敗進度や腐敗スピードには、経過時間はもちろん、故人の身体的特徴(肥満・痩身)や持病・投薬剤、その場の温度や湿度が大きく影響する。

冷暖房の影響を考慮しなければ、当然、低温乾燥の冬より高温多湿の方が腐敗しやすい。

猛暑の夏場だと、たった2~3日で凄惨なことになるが、寒冷の冬場だと遺体はミイラ化する一方で一週間~二週間経っても汚れないこともある。

孤独死でない遺体でも死後は冷やして保管されるわけで、腐敗抑止に高温多湿は大敵なのである。

どんな汚れ方をする?

「腐乱死体は“固体”ではなく“半液体”」と言っても過言ではない。

しかも、その液体には多くの脂が含まれている。

人間の身体は200本以上の骨、数兆もの微生物、37兆を超える細胞でできている。

臓器や組織する細胞の70%は水分で、それを考えると、「半液体」という表現も頷けるのではないだろうか。

それが長期に渡って放置されると、その粘体・液体は横方向に広がるだけでなく縦方向にも浸み込んでいく。

そうして、時間経過とともに周囲の家財や建材を呑み込み汚染腐食させていくのである。

異臭の原因は?

人間の身体は、一種の生鮮品。

肉や野菜と同じように、生命を失って時間が経てば腐り朽ちていく。

そして、腐敗していく中では様々な化学変化が起こり、様々な悪臭成分が発生する。

具体的には、窒素化合物系(アンモニア・トリメチルアミン等)、硫化物系(メルカプタン・硫化水素等)、脂肪酸系(アセトアルデヒド・酢酸エチル・イソ吉草酸等)で、そういった物質が複合的に発生して著しい悪臭となる。

ちなみに、異臭の性質に大きな個人差はなく、腐敗度が同レベルならニオイも同一系である。

消臭は必要?

腐乱死体臭は、類似臭を思いつかないくらい独特のニオイ。

重異臭が充満している部屋だと、ほんの数分滞在しただけで服や髪にニオイが移る。

現場に立ち入った後、電車やバスに乗ったり、スーパーやコンビニに入ったりすることが躊躇われるような状態に陥ってしまうこともある。

わずかな時間でもそうなるのだから、長く晒されている内装設備や家財、部屋にあるすべてのモノにはニオイが重度に浸透付着する。

そうなると、消臭脱臭は自ずと必要となる。

ただ、その作業は一朝一夕に完遂できるものではない。

強固に浸みついたニオイをきれいにとるためには、いくつもの工程や何日もの工期を要する。

ただ、“重異臭”というものに遭遇した経験がないせいだろう、ニオイの問題を安易に考える人は多く、成果重視でジックリ取り組む当社のスタンスと相まって、「そんなに時間がかかるの?」と驚かれることも多い。

消毒は必要?

腐乱死体現場が不衛生であることは間違いない。

そこには、世間一般に存在しているような細菌やウイルスをはじめ、腐乱死体現場特有の細菌やウイルスもいるだろう。

それは一般の人でも容易に想像ができるようで、強い不安感を抱く人も多い。

だから、特殊清掃をはじめとした各種作業はキチンと行わなければならない。

消毒もその一つ。

ただ、実際は隔離が必要なほど危険性の高いウイルスや細菌がいるとは考えにくい。

したがって、装備と対処法を間違わなければ無闇に恐れる必要はない。

不安を覚える人が多い中、当社は、そんな方々の不安を煽って消毒作業を過剰に売り込むようなことは慎むべきと考えている。

どうしてハエが出る?

「ハエは腐臭を好んでやってくる」とされている。

そして、腐敗した遺体に卵を産みつけ、その肉を餌に繁殖を続けていく。

したがって、腐乱死体現場においてはウジ・ハエがいるのが当り前で、逆に、彼らを見かけないことの方が珍しいくらい。

ただ、不思議に思うのは、浴室での硫化水素や練炭自殺現場で、扉の隙間・換気口・排水口がキチンとふさがれているようなところでもウジ・ハエが涌くこと。

故人が蝿蛆症(ようそしょう)に罹患していた可能性はゼロではないにしても、現実的には極めて考えにくい。

法医学者にも訊いたことがあるが、結局のところ、我々では想像もつかないような隙間からハエが侵入していると考えるほかないようである。

どうしてハエが出続ける?

「部屋に遺体はないはずなのにハエが出続けている」といった相談を受けることがある。

発見された遺体は、現場検証と併せて直ちに警察によって運び出されるのだが、腐乱死体の場合、運び出されるのは主だった身体部位や回収しやすい固体部分のみ。

溶け出た肉体や流れ出た体液をはじめ、頭髪・皮膚などは残ってしまう。

ウジはこれらを餌にして成長しハエとなり、それがまた卵を産み、そこにある食料(遺体系残留物)を喰いつくすまで何代にも渡って増殖し続ける。

更に、餌がなくなったとしても、既に生まれているウジが どこかに潜んで成長し、ある日突然 ハエとなって出てくることもある。

新たな発生を防ぐためにはハエを落とすだけでは不十分で、やはり、特殊清掃の施工が必要となる。

掃除だけでは済まない?

腐乱死体現場の始末について、「掃除すれば済む」と考える人は多い。

それ以前に、「遺体がなくなれば問題はなくなる」と考える人も多い。

一般の人は、「遺体が部屋を汚す」「遺体によって部屋が汚れる」といったことが想像できないよう。

しかし、腐乱死体現場では、掃除だけで復旧するケースは少ない。

内装建材自体が汚損腐食しているので、原状回復には、消臭消毒作業をはじめ、内装改修工事が必要になるのである。

遺体の変容はどう始まる?

人は、心拍が停止すると「死亡」と判断される。

そして、血流が停止することによって体表温度は急速に低下、また、体芯温度は緩やかに低下し、一時間毎-0.8℃くらいで気温に近づいていく(死冷)。

それから、重力によって血液が下方(多くは遺体の背面・裏面)に溜まることによって皮膚が紫赤に変色する(死斑)。

そして、死後2時間から6時間くらいの間に、筋肉内の化学物質(ATP・アクチン・ミオシン)が働かなくなることによる筋肉の硬化・短縮が生じる(死後硬直)。

それから、指先・鼻先などの突出部位の皮膚から乾燥・収縮がはじまり、黒ズミ変色がみられるようになる(ミイラ化)。

腐敗はどう進む?

腐敗度は大きく五期に分けられる。

まず、生命を失った遺体の体温は下がり身体は硬直していく(新鮮期:fresh)。

そして、ある程度の時間が経過すると、死後硬直は解け、今度は細胞組織の酵素がタンパク質・脂質・糖質などを分解することによって身体が軟らかくなる自己融解が始まる。

同時に、細胞から放出されるメタンガスや硫化水素による激しい異臭も発生。

腐敗で発生したガスによって全身が膨張し(巨人様観)、体表各所には血管が浮き出たような模様や水疱が現れ、破れた水疱からが黄・赤・緑色の体液が漏れ出す(膨張期:bloat)。

身体の色は青-赤-黒と変わっていき、肉は酪酸発酵しながら分解されていく(腐朽促進期:active decay)。

また、腐臭を好むハエが集まり、腐敗肉を餌に加速的に増殖していく(高度腐朽期:advanced decay)。

そういった一連の腐敗分解過程を経て、数か月のうちに遺体は白骨化するのである(白骨期:skeletonized)。

遺体を恐がる心理は?

遺体に恐ろしさを覚えるのは、「自分の死がリアルに感じられるから」ではないだろうか。

遺体に接すると、生体と死体の違いだけではなく、生と死の違いも如実に伝わってくる。

そして、「死を遠ざけたい」「死を考えたくない」といった考えが無意識のうちに働く。

また、物理的には他の類似物質と同等のはずなのに、遺体の冷たさや硬さには、単に「冷たい」「硬い」といったものではない独特の違和感を覚える。

それによって、遺体に対する恐怖心が煽られるのかもしれない。

遺体の陰に見え隠れする自分の死に、人は恐怖しているのかもしれない。

腐乱死体を嫌う心理は?

人は命を失うことや生命を失った身体が朽ち果てることは自然の摂理。

しかし、多くの人は、この真実を容易に受け入れることができない。

腐乱死体現場が嫌悪・恐怖されるのは、単に、「クサいから」「汚いから」というだけではなく、他にも理由がある。

大きくは、「生存本能からくる死への嫌悪感」と「死の不可知性に対する恐怖心」。

死を忌み嫌う心や不安感は、自分の自由意志やコントロールできる感情の外にプログラムされた本能なのだろうから、自力で変えることは極めて難しい。

更に、腐朽した肉体は、ビジュアル的にも かなりの悍ましさがあり、“自然の摂理である死”を、自然摂理の概念を覆すくらいネガティブなところまで引きずり下ろしてしまうのである。

ヒューマンケアの腐乱死体事例

我々は、警察による遺体搬出・現場検証・身元確認・死因特定が済まないうちは、どんなに急を要する状況であっても現場に立ち入ることはできない。

したがって、腐敗が激し過ぎて身元や死因がすぐに特定できない場合は、警察から立入許可が出るまで待たざるを得ない。

DNA鑑定が必要になったりすると、何週間も待つことになる。

 

遺体発見から初動(現地調査)の間に長短あれど、我々が現場に赴くのは遺体が運び出された後。

つまり、「特殊清掃で遺体と対面することはない」ということ。

ただ、当社には、遺体処置を専門とする「エンゼルケア事業部」という部署があり、そこでは、毎日、様々な遺体と対面している。

多くは病死や老衰死の高齢者だが、若年者や事故・自殺、損傷や腐敗のある遺体も珍しくない。

 

とある沼で自殺と思われる遺体があがった。

死後何日も経過しており、全身、苔が生したような緑色に。

しかも、その身体は腐敗ガスを蓄えて生前の三倍くらいに膨張し、皮膚はヌルヌルの状態。

当然、激烈な悪臭も放出。

引き揚げてきた警察も、かなり難儀したようだった。

 

場所は、悪臭が充満する警察署の霊安室。

頼まれた仕事は、火葬するための納棺。

通常なら「納棺式」として厳粛に執り行われるものなのだが、故人の尊厳を考えなければならないような雰囲気も 故人の尊厳を考えられるような心身の余裕もなし。

署員と四人がかりで裸の遺体を納体袋(遺体収納袋)に封じ、多くの遺体用消臭剤と共に柩の中へ。

更に、悪臭が外に漏れるのを防ぐため、フタと柩の隙間をテープで目貼り。

何とか、霊柩車に積める状態にまでもっていったのだった。

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